Webデザインの「1920x1080px」というワナ。なぜ、そのサイズでデザインすると失敗するのか?

こんにちは!Webデザインを学ぶとき、あなたもこんな疑問を持ったことがあるでしょう。

「Webサイトのファーストビュー(FV)って、どのくらいのサイズで作ればいいんだろう?」

そして、Googleで「ディスプレイサイズ シェア」と検索すると、必ず上位に出てくる数字があります。

「1920 x 1080ピクセル (Full HD)」

なるほど、じゃあデザインも1920pxの横幅いっぱいに、高さ1080pxに収まるように作れば、一番多くの人に見てもらえるんだ!……と考えてしまうと、実は大きなワナにはまってしまいます。

この記事では、なぜ「1920x1080px」という統計データをそのまま信じてはいけないのか、そして、私たちが本当に考慮すべき「サイズ」とは何なのかを、できるだけ分かりやすく解説します。

目次

1. 誰も「1920px」そのままのサイズでは見ていない?

結論から言うと、モニターのスペックが「1920x1080px」であっても、実際にWebページをそのサイズで見ている人はごく少数です。

「どういうこと?」と思いますよね。 その最大の理由が、PCのOS(WindowsやMac)に標準搭載されている「スケーリング(拡大表示)」機能です。

なぜ「拡大」するの?

想像してみてください。13インチや15インチのノートPCで、横幅1920pxの解像度を「100%(拡大なし)」で表示したらどうなるでしょうか?

…そう、文字やボタンが米粒のように小さくなって、とても読めません。

そのため、今のPCは「画面は高解像度(キレイ)にしつつ、表示する文字やUIは読みやすい大きさに自動で拡大する」のが当たり前になっています。

  • Windowsの場合: 「150%(推奨)」や「125%」に設定されていることが多い。
  • Mac (Retina) の場合: そもそもが「200%」を前提とした表示(擬似解像度)になっている。

2. 本当に知るべきは「実効解像度」

私たちが知るべきなのは、モニターの物理的な画素数(1920px)ではなく、スケーリング(拡大)された後の**「実効解像度(ブラウザが認識するサイズ)」**です。

計算は簡単です。 解像度 ÷ 拡大率 = 実効解像度

実際に、主流の「1920x1080px」のPCが、拡大後どのくらいのサイズとして動いているのか見てみましょう。

WindowsノートPC (1920x1080px) の場合

  • 150%拡大 (よくある設定)
    • 横幅: 1920px \ 1.5 = 1280px
    • 高さ: 1080px \ 1.5 = 720px
    • 実効解像度: 1280 x 720 px
  • 125%拡大 (これも多い設定)
    • 横幅: 1920px \ 1.25 = 1536px
    • 高さ: 1080px \ 1.25 = 864px
    • 実効解像度: 1536 x 864 px

MacBook (Retina) の場合

  • MacBook Air (M1/M2など)
    • デフォルトの擬似解像度: 1440 x 900 px
  • MacBook Pro 14インチ
    • デフォルトの擬似解像度: 1512 x 982 px

3. 【結論】じゃあ、結局どのサイズで作ればいいの?

もうお分かりですね。 統計上は「1920px」が最多でも、実際に見られている横幅は1300〜1600pxあたりがボリュームゾーンだということです。

これを踏まえて、Webデザイナーが守るべき「安全なサイズ」を決めます。

横幅の考え方(コンテンツ幅)

Webサイトの本文や主要なコンテンツは、中央の「安全圏(コンテナ幅)」に収めます。

コンテンツ幅の目安: 1000px 〜 1200px

  • 現在は1000px前後を採用するサイトが非常に多いです。
  • 情報量が多いサイトなどでは1200px程度まで広げることもありますが、まずはこの範囲を「安全圏」と考えるのが良いでしょう。
  • デザインカンプ(Figmaなど)を1920px幅で作るか?という点について。
    確かに1920pxでカンプを作るケースもありますが、実務では1440pxや1536pxなど、より実態に近い幅で作ることのほうが多いかもしれません。
  • 1920pxを基準にすると、要素間のスペースが広くなりすぎ、全体的に「大味」で間延びしたデザインになりがち。
  • カンプの横幅がいくつであれ、「背景画像がどう見えるか」の確認はしつつ、主要な内容は、必ず中央の1000px〜1200px(安全圏)に寄せてレイアウトする意識が最も重要です。

高さの考え方(ファーストビュー)

「高さ1080px」も、そのまま信じてはいけません。

  • 最も小さい「実効解像度の高さ」は720px (150%拡大時) でした。
  • さらに、ここからブラウザのUI(タブ、アドレスバー、ブックマークバーなど)**の高さが引かれます。これが大体 100px 〜 150px あります。

計算してみましょう。 720px (実効解像度) – 120px (ブラウザUI) = 600px

ファーストビュー高さの目安: 600px 〜 700px

つまり、Webサイトで一番伝えたいキャッチコピーや「お申し込みボタン」は、「高さ600px〜700px」の範囲に収めておけば、「スクロールしないと見えない!」という事故をほとんどのPCユーザー(特にノートPC)で防ぐことができます。

まとめ

統計データを鵜呑みにせず、「ユーザーが実際に見ている環境」を想像することが、優れたWebデザインの第一歩です。

  1. 「1920x1080px」はモニターのスペック。
  2. OSの「スケーリング(拡大)」が標準なので、実際の表示(実効解像度)はもっと小さい(横幅1280pxや1440pxなど)。
  3. 「高さ」はブラウザのUI分も引かれるので、さらにシビアに考える。
  4. 安全圏は「コンテンツ幅 1000px〜1200px」「FV高さ 600px〜700px」と覚えておこう!

この「実態」を知っているだけで、あなたのデザインは格段に「ユーザーフレンドリー」になりますよ。

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